(こごみの庭担当係によるコーナー)
庭の特徴やここでの植物の育ち方などをお伝えしていきます。みなさんのお庭づくりの参考に少しはなりますでしょうか・・・。

この土地と家屋を購入したころ、地元の方から「今までは夏でも涼しかったが、最近は暑くなってきたので初めてエアコンを入れた」と言われました。それが今から12年前。
信州の涼しさに憧れていた我々は出ばなをちょっとくじかれた思いでしたが、それでもその後しばらくは、夏の屋外でも日陰にいればそれなりに涼しく感じる年が続きました。屋内も、エアコンを買わなくてもさすが信州、朝夕は夏でも涼しいし(寒いくらいの時も)、この家はクヌギやコナラ、カシワなどに囲まれていることもあって、窓を閉めて朝の冷たい空気をとじこめておくという裏ワザ(?)のおかげでなんとかしのげました。
ところが、ここ2、3年、それも通用しなくなりました。たしかに今でも朝夕は涼しいです。しかし、昼間異常なほど暑かったある日、沼津市から来た人に「沼津より暑い」と言われて心折れ、ついに昨年「絵本の小部屋 こごみ」のオープンに合わせて、我が家もエアコンを入れました。おかげで店内は快適です。でも・・・!
昨年の8月、あまりの暑さに「奥の庭」エリアの芝生(コウライシバ)とそこに生えてる雑草(!)が枯れました。今年の春、芝はなんとか復活しましたが、今でもあちこちがハゲた状態です。
私は林の中も好きですが、陽の当たる広いところがより性に合っているので、庭づくりの初期に木を伐採してかなり多くの日向ゾーンを作りました。しかし「あ~ひろびろ~」と気持ちのいい空間になるどころか、植物たちは青息吐息、こんな日向にしてしまった自分はいったい・・・。
ご近所の庭友さんたちの庭は、もとから生えている木々をかなり残した半日陰の庭なのですが、園芸図鑑で「日向を好む」と分類される植物が、うちの庭でヨレヨレになってるのに、そちらの半日陰では元気なのです。特にエキナセア。
ただ、土(地中の温度や湿度など)の影響もあるのかなとは思っています(土壌のお話は次回いたします)。
さて、今度は寒さについて。
安曇野・松本地域は、もともと雪は降っても積雪量はそれほどないところです(大雪になる境界線は大町市あたりのようです)。暖冬の影響もあってか、冬の間中積雪が地面を覆っているということはありません。ですから、分厚く積もった雪がその下の植物を守るということは期待できません。
11月下旬(近年は12月上旬か)頃には雑木林の落葉樹は落葉します。春になって木々が再び芽吹くのは4月中旬頃(近年は4月上旬かも)。
安曇野周辺では冬野菜は9月に作り始めて年内に収穫です。

でも、暖冬傾向のおかげか、幸いなことに寒さが苦手な植物もなんとか育つようになりました。うちの庭では、
♦ダリア➝寒地では冬前に球根を掘り上げるのが常識となっていますが、試しに‘結納’‘ハミルトンジュニア’を地中に球根があるまま冬越しさせてみたらなんと大丈夫でした(根元に堆肥でマルチしました)。かえって次の年大株になってくれました。昨年春、品種不詳ですがコラレット咲きを3球植え、これらは堆肥のマルチもせずに冬を越させたところ、3株とも今春、ちゃんと芽を出しました。
♦ジンチョウゲ➝斑入り品種の‘信濃錦’‘前島’が半日向(なんて言い方あるかな?)の軒下(市販の園芸用土に堆肥・腐葉土を多く混ぜてある)で元気です。ただ、これ以上日が当たると日焼けしそう。斑入りでない青葉のジンチョウゲは林の日陰に植えてありますが、軒下でもなく客土もほとんどしなかったためか、何年経っても大きくならず花も咲きません。
♦キンモクセイ➝その青葉のジンチョウゲの後ろに幼木を植えましたが、てんでダメです。冬はジンチョウゲと一緒に不織布で巻いてやっても枝先が枯れ込みます。春、日向に大株を植えればなんとかなるだろうと、今年4月に「前の庭」エリアに新しい株を植えました。さあどうなるでしょうか。松本ではけっこう立派な成木も見られるそうです。
♦ビワ・イチジク➝安曇野・松本で大きな成木を見かけることもあります。うちでは幼苗のイチジクを植えましたがダメでした。
♦カラタチ➝わりと近所に成木があります。
♦ユズ➝いわゆる本ユズではなくハナユを温室内で地植えにしている人はいます。実がなります。露地では無理でしょう。
♦クチナシ➝幼苗を半日陰に植え、冬は不織布で巻きますが枝先が枯れ込み、大きくなりません。陽当たりのいい軒下で再チャレンジしてみようかと思案中です。
♦タイサンボク➝ヒメタイサンボクかもしれませんが、成木のある家を2,3軒見ました。
♦カロライナジャスミン➝ちゃんと花を咲かせてる家を1軒知っています。

次回は土壌についてのお話です。なんとこごみの庭は、おびただしい量の大小さまざまな花崗岩と、そのすきまを埋める花崗岩の風化した砂からなる扇状地の上にあります。そのためかなりの乾燥地、かなりの貧栄養地。そんな土壌を泣きながらどう改良しているのかのお話です。ところでこんな土質でも平気な植物もいるのですね。そういう植物の紹介もする予定です。では。