ワンダーフォーゲル部の日々
さて、大学に入学してワンダーフォーゲル部に入部したのをきっかけに、一気に登山にはまっていきました。部での活動は、全員で同じ場所へ行く「合宿」と、その合間に自分達の行きたい場所を計画して行く「分散山行」の2種類がありどちらの活動も積極的に参加していました。
山梨県の大学だったので、八ヶ岳や南アルプス、北アルプスへの山行が多かったです。特に北アルプスは、夏合宿で2年連続10日間の山行をしたので、すっかりその魅力に取りつかれました。表銀座(燕~槍ヶ岳)コースの入山は穂高駅、裏銀座(烏帽子岳~)コースの入山は信濃大町駅からと、当時大糸線に乗車する機会も多く、車窓から見える北アルプスはそれだけで心躍る風景でした。
「児童書も面白いよ」
さて、そんなワンダーフォーゲル部の先輩が私の読書好きを知って「そんなに本が好きなら児童書も面白いよ」と声を掛けてくれました。
絵本屋への道(1)で書いたように、小学校時代に本の虫だった私は、児童書はある程度「読んできた」と自負があったのですが、改めて探してみると、実は「読んでいなかった」ことに驚きました。つまり、学校図書館では出会っていなかった本、私の手元には届いていなかった本がたくさんあったことに気づいたのです。
そこから、石井桃子さんの『子どもの図書館』(岩波新書 1965)や松岡享子さんの『サンタクロースの部屋』(こぐま社 1978)(※リンクは改訂新版)、松居直さんの『絵本とは何か』(日本エディタースクール出版部 1973)(※リンクはちくま文庫版)等児童書関係の評論やガイドブックを読むと同時に、子ども時代に出会っている筈だった児童書・絵本を片っ端から読む生活が始まりました。
そういう生活を続けていた私は、次第に「公共図書館児童室の司書」になりたいと思うようになりました。
司書への道が絶たれ、教職へ
司書になるには、司書資格が必要ですが、私の大学では司書資格を取得できませんでした。そこで、夏休み40日間で司書資格を取得できる関東の大学に申し込みをしたところ、まさかの不合格。
※後日談ですが、35年後、その大学の先生が私の勤務先に学校図書館研究の為に来校されたので当時の一件を伝えると、「当時は社会人の司書講座希望者が多く、大学生は後回しだった」と聞きました。渾身の志望理由の作文を書いたのに何故と思っていたので、そうだったのかと・・。
結局司書への道が絶たれたので、多くの学生と同じ教員への道へ進むことにしました。元々教員志望でなかった自分を納得させるのは大変でしたが、「公共図書館に来る子どもは一握りだけれど、公立小学校なら地域全ての子どもが来る」ので、その子どもたちへ本を手渡すことができればと考えることにしました。
つづく


